新設住宅着工件数の推移をみますと、2007年と2008年は共に約100万戸、つまり月間8万戸の水準にありましたが、今年に入ってそれが6万戸台に低下しています。
仮に2009年の月間平均着工件数を6.5万戸とすると、年率換算ではおよそ80万戸、前年より20万戸減る計算になります。
ところで、それ以前の着工実績をみますと、2006年が130万戸弱、2005年が125万戸前後、2004年が120万戸弱です。
仮に最近の適正水準を年間100万戸と仮定しますと、2004年から2006年の3年間だけで、少なく見積もっても60万戸以上の「空き家」があることになります。
その内の20%(=10万戸)が取り壊されたとしても、それでも50万戸残りますから、年率換算80万戸で2年半推移して、やっと過剰在庫が捌けることになります。
つまり今年と来年は、不動産業界には薄日すら差してこない、そういう推論も成り立つことになります。
話変わって、イオンの財務体質と業績が予想以上に悪そうです。
本日(6月27日)の日経によると、340億円相当の普通社債を発行するそうですが、その格付けがシングルAにもかかわらず、表面金利は少し前に起債を発表したジュピター・テレコム(シングルAマイナス、100億円、1.51%)を上回る1.59%、発行金額こそイオンの方が多いですが、低い格付け企業よりも表面金利が高いと言うのは、引き受け側がその財務体質と業績見通しに不安を抱いている証です。
赤字を垂れ流し続けている米国傘下企業タルボットの件も片付いていませんし、有利子負債は優に1兆円を超えていますし、少し危うい感じがします。
(了)