欧州市場は概ね二桁近い急反発で引けています。
ニューヨークダウは350ドル前後の続伸、円は1ドル=107円近辺。
CME日経平均先物は1万2,400円前後ですが、ここまで行くかなあと言うのが正直な感想です。
原油は再び100ドル乗せですが、需給バランスが緩んできたからこそ、バレル当たり147ドルから下がってきた訳でして、需給と全く関係のない外部要因で急反騰しても、その部分は砂上の楼閣で、むしろしっぺ返しが倍返しになると思います。
問題はこの安堵感がいつまで続くか、換言すれば今回の施策が抜本的なものか一時凌ぎかと言う点にあります。
忘れてはならないのは、株式は企業の所有権を証明する有価証券であり、その価値は企業業績に左右される点です。
勿論、その前提となる資金繰りが、今回の一連の措置で表面上は緩和された感がありますが、その点に目をつぶっても、日米欧の企業業績悪化は避けられない見通しにあります。
ましてや、今回の意義は、甘く査定しても、米国発の金融制度崩壊は回避できたというだけで、米国以外の金融機関まで救済された訳でもなく、ましてや問題を抱える国々が経済的苦痛から解放された訳でもありません。
そもそも、今回の決定は米国経済(ひいては世界経済)の瓦解を回避するのが主目的ではなく、ポールソン財務長官、バーナンキFRB議長がお世話になっているゴールドマン・サックス(GS)救済が、その主旨です。
このままで行くと、9月末決算のシティを始め、傘下の金融機関が持たないですから、含み損を出さないように、世界規模の株価浮揚策を打ったのが真相です。
そこまで追い詰められていたのですね、GSは。
では、月末まで無事平穏に過ごせるかと言えば、そうも言えない部分がある。
今は何が飛び出すか分からない状況下にありますが、唯一言えるのは、窮地に立った国の中央銀行が、資金注入を通して事実上の裏書をしているということです。
ただ、不良債権への裏書ですので、中央銀行=当該国の信用度は低下します。
それは国債の格付けになって表れますが、そうなりかねない候補国が今の世界には十指に余るほど存在します。
大企業の突発死も考慮に入れなければなりません。
爆発時間の分からない無数の時限爆弾を抱えながらの反騰相場、何処まで続きますやら。
まあ、ロシアが潰されるのは最早既定路線でしょう。
(了)